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ボートを引いてアンカレッジまで
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翌日は、ドーソンのボートを引っ張ってアンカレッジまで運ぶ日。
ボートは昨日あのまま、作業した山の中に置いてきた。



朝リーガンは、
「3時間くらいかかるから。」
と言って、1人でボートに向かった。やり残している作業があるらしい。
私と子供達はロッジでのんびりと、窓から見える雄大な景色を見ながら過ごしていた。




リーガンは本気でやろうとしているけど、私はあの、どデカいボートをアンカレッジまで車で運ぶのは、正直無理だと思っていた。いや、無理であって欲しいと半分願っていた。





だってこのサイズ。
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これを引っ張って、1255キロの道のり。
しかもスムーズな道なんかじゃないよ。






走るのは、カナダのガタガタ道。


しかもあの、雪山も超えなきゃいけないし。










ムリムリムリムリ。
あの来た道を思い出しただけで、頭をブルブルと横に振りたくなる。
実はヘインズまで来る道で、車がトレーラーごとひっくり返っている事故現場を見たばかり。
怖過ぎる。

だいたい日本だったら、けん引の特別な免許がいるんじゃないの?素人じゃあ出来ないよね。





どうかどうか、車が横転しませんように。






11時くらいにリーガンが戻ってきた。
窓から見ると、ボートは後ろにない。ミニバンだけ。
よかった。やっぱり無理だったんだ。




ホッとしたのも束の間。リーガンは言った。
「ボートは町の広場に置いてきた。思ったよりもスムーズに引っ張れてる。さぁ行こう!」





…がっかり。
やっぱりアレを持って帰らなければいけない宿命なのね。

リーガンに、「出来ないと思ったら無理しないで引き返して、ボートはここに置いて帰る事」と、固く固く約束させてから、出発した。





広場でボートをミニバンに繋げ、引っ張って行く。
思ったよりも普通に走れているが、リーガンは半端ない集中力を必要としているのだろう。


「万が一車が倒れたら、ここにしっかり掴まって。」
説明するリーガン。いつもより真剣な声。
家族みんなで、緊急時の練習をした。







なんで、こんな命がけ。
ドーソン、信じれん。




国境越えも難なく済み、雪山突入。


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ひゃあ〜。
怖いって。こんな所で事故っても、誰も助けに来てくれないよ。




その日の朝、私はロッジでブログを更新していた。ヘインズへの道の記事。
早くも、それを読んだ日本の母からメールがきていた。



心配性の母からのメールは、
「熊のいる所でキャンプしていると思うと、心配で眠れない。」
と書いてあった。

悪いけど、それ見て思わず笑ってしまった。





今の状況。
もう熊なんか怖くないって。
熊なんか。

熊よりもずっと怖い交通事故。







なんとか雪山を超えた。

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リーガンは後ろの車に迷惑がかからないように、広い道を見付けてなるべく追い越させる。みんな追い越す時に笑って振り返って私達を見るのが、不思議だった。



不思議じゃないか。
ミニバンでこんな大きなボート。誰が引っ張ってるのって、みんな気になるよね。




その日は夜中の12時まで走った。
リーガンは、その夜キャンプしようとしていたのを、私が絶対ホテルと言い張った。
これ以上ドーソンのお金を使うのが悪いからと、リーガン。



そんな。
ドーソンのために、こんなにみんな命がけなのに…。





この大きなボート、停められる所も限られてるし、明日も続く集中力のためにしっかり寝ないといけないし。

私が許す。ドーソンのクレジットカードでホテルへゴー!





翌日も走る走る。
いいお天気で気持ちがいい。
多少、この緊張感にも慣れてきた。



途中Tokという町の、ティピーが立ってるロッジに停車する。


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リーガンは、ここを通る度に、寄ってみたかったらしい。



お店とか見に行ったら、ここのオーナーに驚かれた。
驚かれたのはボートが大きかったからではなく、ここに人が立ち寄ったという事に。



昔は栄えていたが、今は来る人が滅多にいないと言うオーナー。


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お土産やもあり、レストランもあり、家族経営のロッジだった。



オーナーが超フレンドリーな人。何も買ってない私達に、建物の中を全部見せてくれて、コーヒーはどうだと勧める。

釣りのガイドもしてくれて、アンカレッジの空港まで送迎くれるそう。本当の田舎のアラスカを体験したい方はこちらへ。

Gakona Lodge & Trading Post




その後も、ボートを引いてミニバンは走る。

リーガンの力技で細いくねくね山道も通過。リーガンだから出来た。誰にもお勧めしないよ、こんな荒技。






アンカレッジに着いたのは、夜の11時過ぎだった。事故なく到着。本当によかった!





実は、ボートの話はここで終わりではない。
今度はこれを、ホーマーまで運んでフェリーに乗せなければいけない。

ボートを運ぶ話、まだまだ続く。
by shs_merumo | 2012-06-13 05:12 | アウトドアの楽しみ方


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