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チャーリー・ユーコン川下り その7 〜長い道のり〜
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翌朝は、6時起床。
私達にとって、とても早い朝だ。
前の晩、大人3人で開いた緊急会議で問題点を話し合った結果、早起きをせざる得なかったのだ。


昨夜、GPSと地図を照らし合わせて確認すると、川旅を始めてから今まで、まだ11マイル(17,7km)しか進んでない事が判明した。

初日が5時間で5マイル。
2日目が6時間で6マイル。

1時間で1マイル進む計算だ。


しかし、全行程は134マイル(215.7km)もあるのだ。
そして残りの日数は4日間しかない。
134マイルから11マイルを引いて、123マイル。

...123マイルを4日間で。





全然ダメじゃん!

どーすんのよ、私達?


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リーガンは、5日後の月曜日から仕事があるし、食料だってそんなに多く余分がある訳ではない。
最終日の日曜日には、パイロットの友人がゴール地点まで来る事になっている。
もし私達が到着してなければ警察に通報、そして飛行機で上から探すと言っていた。







早く着かなきゃ、捜索されちゃうよ。


仕事場にも友人にも、連絡しようがないし。
ここは、電話なんてもちろんない大自然のど真ん中。


どうにかして、4日間で123マイルを完走しなくてはいけない。

「朝早くから深夜まで、とにかく船を漕ぐ。徹夜も覚悟で。」

当然、そういう結論に達したのだ。




頑張るしかない!


朝は急いでテントを片付け、火をおこしてコーヒーとキッシュの朝食を取り、8時にはファルコンクリフを出発したのであった。
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川3日目。
山を降りてきて、川の水はだんだんと多くなってきている。
途中小さな川も何個か合流し、水量が増えている。

水の中に入らなくてはいけない時間も少なくなってきて、最初の2日間より楽にはなってきている。とは言ってもまだ、20分間漕いだ後に、また5分間は岩の川でラフトを引っ張るというのを繰り返す感じで、まだまだ大変だ。





チャーリーリバー、油断ならない。
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漕ぎながらも山の方を見ていたリーガンが、山頂を指差した。
山の上に、白い陰。

双眼鏡を取り出したリーガンが、ドールシープを発見!
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おお〜。なんか可愛い。
旅始まって以来の、大きな動物だ。

少し前にいたイサオさんの名前を大声で呼び、山を指差す。
イサオさんはドールシープが分からない様子で、山の方をキョロキョロと見回し、近づいて行った。


その時。
山の下の方にいたドールシープの群れが、近づきすぎたイサオさんを警戒し、一斉に走り出した。
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ドドドドーーーーー。

砂煙をまき散らし、すごい勢いで駆けて行くドールシープ。
なんか、自然の中にいると実感出来たよ。

その後も、たくさんのドールシープを目撃した。
人間が珍しいのか、子供のドールシープは、その場に止まってじっとこちらを観察している様子だった。
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ランチタイム。
時間節約のため、イサオさんの速いカヌーが先に行き、食事出来そうな場所を見付け、火を興しておく作戦。

ランチは、温めるだけでいいチーズステーキサンドイッチ。
洗い物時間も節約のため、アルミホイルに巻いて食べる。


その日は7月4日。独立記念日だ。
花火でお祝いする代わりに、銃発砲。

心優しい友人が、熊の護身用として貸してくれたマグナム44を、リーガンとイサオさんが山に向かって撃つ。
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大自然の中に、ガンの音だけがコダマしていた。


ランチの後は、また進む。
どんどん進む。
ひたすら進む。
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大きな岩の横を通る。
見上げてみると、すごい迫力。
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でも実家の隠岐にある、岩の風景に似ているなぁ。

その先で、イサオさんが雪を発見!
ラフトを停め、雪採取。
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食料を入れているクーラーボックスを冷やすためだ。
もう氷になっている雪を、オールで壊してクーラーの中に入れた。

そしてまた、壮大な景色の中を青いラフトと赤いカヌーは進んで行く。



川で浮かびながらリーガンと話していたのだが、今回の旅、私達家族は最高の旅仲間と一緒に行けた。

イサオさんはアウトドアをよく知っているし、正しく行動が取れる人。
厳しい状況でも何も文句を言わず、むしろこの状況を楽しんでいるようにも見える。前向きで、いつも笑顔。一緒にいると楽しい。

そして私にとってラッキーな事は、日本語が通じる人だという事。
こんなすごい経験をしている最中に、自分の中で感じた感動や驚きを何不自由なくすぐ話せるという事は、実は外国に暮らしていると、とてもありがたい事になってくる。


イサオさんとは去年知り合い、とても気があって家族のような存在になっていたけれど、この厳しいチャーリーリバーを一緒に超えるという事で、ますます絆が深まりそうだ。
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そんなイサオさんは、
「リーガンはすごい。」
と、何度も繰り返す。



「リーガンはすごいよ。」
「こんな所に家族を連れて来るなんて。」








・・・そこか。



そうだよ。リーガンは、家族をどこにでも連れて行くよ。
ムサシが乳飲み子の時から、サバイバルしてたよ。


2週間で10400kmの車の旅とかね。(テキサスーモンタナーテキサスーフロリダーテキサス。しんどかったって。)



でもリーガンのすごい所は、妻や子供を連れて行っても、それを1人でカバー出来る力だよ。


この重たいラフトも、なるべく私を川の中に入れないように、ほとんど1人で動かしてるし、オールを漕ぐのもリーガン。
オールは持つだけでも重すぎて、私は手伝うのを5分で諦めた。
リーガンの手はマメだらけになり、体中がすごい筋肉痛で、手の感覚もなくなってきているらしい。

1万4百キロの車の運転も、リーガン1人ですべてやった。(私は高速は運転しない。)


リーガン、すごいよ。
イサオさんも、すごい。


サバイバルスキルのある人って、かっこいいね。


そして夜の9時になり、ようやくキャンプ。
なんと今日は、27マイルも進んだ。

昨日の4倍以上の距離。
ヤッター。これなら4日後に、ゴール出来るかも。


ホットドックの夕食の後、リーガンがまたケーキを焼いた。
アップサイドダウン・パイナップルケーキ。
アラシがお手伝い。
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出来上がる頃は、もう12時を過ぎていて、クタクタだったみんなは食べずに就寝。
明日の朝食用へとなったのだった。
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by shs_merumo | 2007-07-27 17:18 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下り その6 〜ファルコンクリフ〜
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川2日目。今日も快晴。
昨夜のうちにしていた洗濯物も、ぼちぼち乾いてきてる。

カヌーが直り機嫌も直って、朝はムサシに釣りを教えるイサオさん。
リーガンは昨日の反省をふまえて、ラフトにバランスよく荷物を乗せる方法を考えていた。


そしてまた、厳しい岩の川へと挑む一行。
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やはり、浅い川。
景色は素晴らしいが、浅い川はスバラシクない。

ムサシも川に入り、ラフトを引っ張るお手伝い。


岩だらけでラフトが動かなくなると、今度は岩の方を取り除くリーガン。
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私も川に入り、何度もラフトを引っ張った。


しばらく行くと水も増え、いい感じの流れに。
ラフトの上でのんびりと遊ぶ。
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昨夜のストーリータイム。持ってきた本は「Where the Red Ferns Grows」。
リーガンが子供の頃に好きだった本で、少年と犬の話だ。

この続きが気になる子供達は、リーガンに読んでとせがんでいた。
ラフトを漕ぎながら、ストーリータイム。
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流れの速い場所に、子供達は大喜び。

「ホワイトウォーター!」
キャーキャー悲鳴をあげて、喜ぶ私達。
「ディズニーランドみたいだね。」


いや、ディズニーランドの数倍いいよ。

なんせこっちはホンモノよ!


この流れを上手く下れるか、やって来るイサオさんをみんなで見守る。
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やった!成功。


途中で、素晴らしく景色のいい場所を見付けた。
崖の上でハヤブサが華麗に飛び通い、水には魚がジャンプしている場所。
その川岸は広い平地になっていて、柔らかい砂場もある。テントを張るには持って来いの場所だ。

時刻は6時45分。
まだ今日は6時間しか川に入ってないが、大人3人の意見が一致し、この場所でキャンプをする事にした。


リーガンとイサオさんは、すぐに竿を持って川に入った。
私はそんな風景を、のんびりと眺めていた。




しばらくしてリーガンが、
「メルモ、ちょっと来て。」
と私を呼ぶ。

慌てている様子。
いったい何だ?

私が歩いて行くより早く、近くにいたイサオさんが気付いた。



リーガンの背中に、釣り針が刺さっていた。


フライフィッシングをしていたリーガン。抵抗を感じ、自分の針が後ろのどこかに引っかかっていると思い、ぎゅっと振った。
しかし針は、リーガンの背中に引っかかっていたのだ。

振った拍子に、背中により深く刺さってしまった釣り針。



「返しがついてるから、これは痛いよ。」
イサオさんの言葉とリーガンの痛そうな顔。
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ぎゃー。怖すぎる。
私は、もうそれ以上近くに寄れなくなってしまった。



イサオさんは、どうにか針を取ろうとしている。
目を瞑り、ぐっと我慢しているリーガン。
遠くで、オロオロと見守る事しか出来ない私。




本当によかった。イサオさんがいてくれて。



そして約20分後、ようやく針が取れたようなので、近づいて行った。


「手術をしたよ。」
イサオさんが言う。
針が深く刺さっていて全然取れないので、イサオさんはナイフでリーガンの皮膚を切ったそうだ。



ナイフで、皮膚を?

麻酔の代わりに、傷口の周りをぎゅっとつまんで痛さを分散したとも言っていた。



...すごい。
私には絶対に無理だ。
血を見るのも怖いのに。


やはり山をやってるような人は、こういう状況は慣れてるって事なんだろう。
応急処置も、何でも自分でやれないと。




「すごいね。手術って。こういう事今まで何度もしてきたの?」
当然イエスという答えだと思っていた。


しかしイサオさんは涼しい顔で、
「いや、ないよ。初めてだよ。」
と答えたのだ。




・・・!?




「本では読んだけどね。」
「いい経験をさせてもらったよ。」





よ、よく切れたね。


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その後イサオさんは、ムサシに釣りを教えてくれて、ムサシは初めて魚をあげたのだ。

このムサシの、嬉しそうな顔!
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私が、イサオさんの釣りの腕前をすごいすごいと何度も言うもんだから、リーガンはヤキモチを焼いたのか、一言。

「俺なんか、200パウンド級をあげたんだぞ。」




それって、自分釣ったんじゃん!



釣った後は、魚の捌き方講座。
釣るのはいいけど、魚を殺すのは怖くて顔を隠すムサシ。
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それに比べアラシは、
「魚の脳みそも見てみようよ。」

兄弟なのに、この違い。
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「じゃあ、魚が何を食べていたか見てみようか。」
リーガンも加わり、大人が子供達に生物の不思議を教える。
こういうの、大事だね。


夕食は、釣った魚とチキンのケサディーヤ。
明日からの予定を話しながら、美味しく頂きました。
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by shs_merumo | 2007-07-25 19:00 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下り その5 〜川初日〜
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翌朝。
私達がまだテントの中で寝ている間に、イサオさんが魚を釣ってきた。

大きなグレイリング。
やった!

この魚にケイジャンスパイスをまぶし、バターで焼いたらめちゃめちゃ美味しかった。




よかったよ〜。釣り人連れてきて。

最初から、こんな大きな獲物。先が期待出来そうだ。




準備をして、いよいよ川へ。

ドライバッグを船に乗せ、防水の服に着替えライフジャケットを付けると、否応無しに期待感や興奮が高まる。
記念撮影をして、さぁ出発!
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透き通ったチャーリーリバーの水の上を滑るラフト。
この大自然の中、私達だけ。
美しすぎる景色を独り占め。


こんな贅沢があっていいのか?

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リーガンとイサオさんはオールを漕がなければいけないが、私と子供達は、ただ乗ってるだけ。
何もせず、のーんびりとこの景色を楽しむだけでいい。




なまら気持ちいいーー!

自然に笑みがこぼれる。
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昨日歩いた、あのB24の山を遠くに通り過ぎる。


昨日のハイキングは、大変だったよね。
最初の日が一番大変だったんだよ。
あれに比べると、川はいいね。疲れないね。
このままスイスイと、簡単に進んでいけるよね。


みんな、そう思っていた。




最初の20分間は。

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しかし、次第にチャーリーリバーの本当の恐ろしさを知る事になる5人。


チャーリーリバーは、浅い。
特に今の時期は、水が少ない。
水が少なくて、岩がゴロゴロしている川だ。


水がないと、船は動かない。
浅すぎて、ラフトが途中で止まってしまう。
7日間の食料を入れた2つのクーラーボックス、それにキャンピングギアや服を積んだこのラフトは相当の重さだ。それを引っ張らなくてはいけないのだ。


リーガンが、水の中を降りてラフトを押す。
私も降りようとするが、
「いい。メルモは乗ってて。」
と、1人冷たい川の中で頑張るリーガン。

強い夫が、家族をサポート。
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それを見ていたアラシは、次に止まった時、
「僕も手伝いたい。」
と、川の中に降りた。

ラフトを引っ張る5歳の息子と、それをサポートする父親。

なんだかいいぞ。
正しい家族の在り方じゃないか?
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出発前は、川に水がたくさんあるから怖い、子供達が流されてしまったらどうしようと、恐ろしい想像をし心配していた。
でも実際来てみると、水が少ないのが大変と分かったよ。


岩を避けながら、止まらないようにオールを上手く使い、ラフトを動かすのには、リーガンのかなりの集中力を要していた。

次第に険しくなってくる、リーガンの顔。
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途中でイサオさんと一緒に、場所を確認。
地図とGPSを使い、現在地を知る。
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山に何かいるみたいだ!
望遠鏡を覗く2人。
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どうよ、この景色?



ふと気がつくと、アラシが眠っていた。
こんな姿勢のままで。
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昨日のハイキングで、相当疲れていたんだろう。
座ったままで深く寝ている。

岩にぶつかってラフトが大きく揺れても、微動だりともしないアラシ。持ってるエネルギーをすべて使い果たしてしまったのだ。


アラシは覚えていないだろうが、イサオさんも手伝って、みんなで協力して岩の川を渡っていった。
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ますます険しくなるチャーリーリバー。



こんな岩だらけの川、どうやって下れと言うんだ?
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途方に暮れたよ。
でも諦めず、少しずつでも進む一行。




誰だよ、初日のハイキングだけが大変で、川は簡単って言ったヤツは。

チャーリーリバー、侮れない!!




ところでラフトは、岩にぶつかっても、くるっと回って進む。
船の中に水が入ると、自然に抜けるように穴が開いていて、沈む事はない。

カヌーは軽いけど、技術が必要だ。
カヌーは岩にぶつかれば転覆してしまう。
こんな岩だらけの川を進むには、カヌーを操るのが相当上手くなければいけない。

ラフトに必要なのは力、カヌーは技術、という感じだ。



前を進んでいたイサオさんの様子が、おかしい。
近寄ってみると...






カヌー、浸水!!



イサオさんのカヌーの中に、水がいっぱい。
大変だ!



「ちょっと、手伝って。」
イサオさんは、今まで見た事ないほど、焦っている。



イサオ、大ピンチ。


カヌーの中の荷物を岸に運び出し、流れていったマットを拾いに行く。
救助!

イサオさんのカヌーはパンクし、船底も穴だらけになっていた。


とりあえず、近くの中州でキャンプする事にした。
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可哀想なカヌー。
「こんなに川でやられたのは、初めてだ。」
珍しくイサオさんがブルーになっている。


「今日はキャンプの手伝いが出来ない、ごめんなさい。」
そう言って、彼は黙々と船の修理をしだした。
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元気を出せ、イサオ。
リーガンがデザートを作った。

ピーチコブラー。

そう言えばリーガン、出発前に家のキッチンで、小麦粉とか砂糖とかを混ぜてジップロックに入れていた。ここで、あれを使うのか。

材料を鍋にいれ、木炭の中に入れておく事1時間。


ふたを開けると、じゃーん!
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おお〜。うまく膨れてるよ!
感動だ。
味も、とても美味しかった。


落ち込んでいたイサオさんも、これを食べて笑顔が戻ってきた。
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ピーチコブラーを食べながら、ストーリータイム。

川初日も、なかなかハードでした。
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by shs_merumo | 2007-07-19 09:10 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下り その4 〜B24ハイキング〜
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ブッシュプレーンで降り立った、そのギルビン・ストリップというポイントでラフトとカヌーを組み立てると、リーガンはランチを作ってくれた。

アンガスビーフのチーズバーガー。
なかなか豪華。
ごちそうさまでした。
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食事が終わるとリーガンは、
「B24の所まで、ハイキングに行こう。」
と言い出した。
あの上空から見た、飛行機墜落現場の事だ。

イサオさんは、もちろんと目を輝かせている。


飛行機野郎の2人。
元戦闘機パイロットのイサオさんと、大学で戦争の歴史を勉強していたリーガン。
この2人が、あのB24に興味がない訳がない。

今日は最初の予定より40kmも川下に降りたし、スケジュール的にも余裕が出来た。
ブッシュパイロットのロンが、2時間半くらいの簡単なハイキングだと言ってたし、これは行くしかない。


「自分のこの目で、その歴史的なB24を見る事は、僕の人生に置いてとても重要な意味をなす事だ!」
熱く語るリーガン。


そうですか。じゃあ、行かない訳にはいかないね。
バックパックに必要な荷物を詰め込むと、5人は張り切って出発した。
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ロンが言っていたように、川に沿って木の中を通る。
リーガンを先頭に、アラシ、ムサシ、イサオさん、私の順でどんどん歩く。

しかし30分もしないうちに、元来た道を戻る事になる5人。
道が途中で消えたのだ!
木が転がって水たまりだらけの、荒れた土地になっていた。



ロン。
話が違うじゃん!


道ないし。
全然簡単じゃないし。
きっとロンが言ってた情報って、20年以上も前の話だよ。



毒づく私達。

(後日談になるが、旅が終わってロンに聞いてみると、彼が最後にこの山に登ったのは、30年前の話だった。・・・やっぱり。)


しょうがなく、戻る事に。
出発点のキャビンの裏から、トレイルがあったはずだ。
ロンの話は信用出来ない。あそこの道を歩いてみよう。


こうして一同は、ロンが何度も言っていた「大変な道」を進む事になったのだった。
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まずは、高い木が立っている道を進む。
かすかに道はあったが、それも途中で消え、道なき道をどんどん行く。
それを抜けると、薮に出た。

すごい数の蚊。
集ってくる蚊で真っ黒になりながら、歩く。



怖いよ。
熊より蚊が恐いよ。

蚊を振り払いながら、歩く歩く。


途中で、面白い物を発見した。
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何だ、この植物は?
緑の中に一カ所だけ、こんな幻想的な風景が。
宮崎駿のアニメに出てきそうだな。
ナウシカで、こんなの見たような気がする。
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鳥の赤ちゃん。
生まれたばかり。

他にも、熊のウンチもたくさん見た。

珍しい物を発見すると、リーガンが子供達に詳しく説明する。
いいね。生きた教育だね。


ツンドラ・スワンプ地帯に入った。
湿地帯だ。
歩きにくい。

スポンジの上を歩いているような、気持ち悪い感触。
よく見ないと、水が溜まっている所もたくさんある。


最初元気だった子供達だが、ムサシから
「すごく疲れた。」
「足が痛い。」
と文句が出るようになった。

すでに歩き始めてから2時間半。
ロンの話では、もう到着している時間だ。
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(写真は、その頃のムサシ。集っているのは蚊。)

「いくら文句言っても、何もいい事は起きない。文句を言えば言う程、周りの人の気持ちを嫌にさせるだけだ。
やるしかないんだから。いい事は何でも、大変な思いをしなくちゃ到達出来ないよ。
前向きな気持ちと態度で、ゴールの事だけを考えて、さぁ行こう!」

リーガンが諭すが、ムサシはそれでも疲れたと口を尖らせる。


「じゃあね。」
リーガンが続ける。
「これから一言も文句を言わずに歩けたら、50パワーポイント!」




でた、パワーポイント。

これは夏休みから始まった制度で、100ポイント溜まると10ドルの好きな玩具が買えるシステムだ。




「50ポイント!?」

途端に、ムサシの表情が変わった。

「分かった。もう文句は言わない。行こう!」
ムサシが明るい顔で立ち上がる。




すごい威力だな、パワーポイント。

実際に、この日から旅が終わるまで、ムサシが文句を言ったり弱音を吐いたりする事は、一切なかった。


ところで、地図も方位磁石も持っていないのに、どうして道が分かるのか。
リーガンの方向感覚はすごい。

前もスノーモービルで真っ白な雪の中で迷った時に、リーガンのだけで、元の道に戻れたんだ。
そんなリーガンを信じて、みんなリーガンの後をついていくだけだ。
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どんどん、スワンプ地帯に入る。
もう靴はびしょびしょに濡れて、気持ち悪い。
ハイキングするなんて誰も思ってもいなかったから、みんな普通の運動靴。イサオさんなんて、釣り用の靴だ。



前を歩いてたリーガンが、
「ちょっと待って。」
と、1人で先の方を調べに行った。
そして帰ってきて、私達に言う。

「これから先、湿地帯が続き、もっと険しい道になるみたいだ。」




もっと険しい?
すでに十分険しいぞ。



「メルモは、ここから戻ってもいいよ。でも、僕は諦めない。絶対にあのB24の所まで歩いてこの目であの飛行機を見るから。」
リーガンの決心は固い。


私はちょっと嬉しかった。
諦めないと言った時のあの強い父親の姿を、息子達は将来、辛い壁にぶち当たった時に思い出してくれるかな。


リーガンが向かう所、家族はどこへでもついていかなくちゃ!
諦める訳にはいかない。







って、言うかね。

リーガンしか道知らないんだから。



こんな所で1人で戻れと言われても、戻れませんから!
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それから、ガンガン歩く。



一つ心配な事は、持ってきた飲み水が少ない事。
こんなに遠くまで来ると思っていなかったので、十分な水を持ってきていない。
子供達のために、自分達が飲む水も我慢していた。



するとリーガンが、スワンプ地帯で地面から湧き出ている水を発見。
「これは自然の草がフィルターになってるから、そのままで飲めるはずだ。」
と、水筒に水を汲んだ。



本当に?
フィルター通さなくて飲んでも、大丈夫なの??


それでものどの渇きには代えられず、恐る恐る口をつけてみた。
「ええい、これでお腹痛くなっても、いいや!」


ごく、ごく、ごく。



美味しい!
冷たくて、すごーく美味しい。
こんな美味しい水は、飲んだ事がない。




なまら、美味い!!


水パワーで、元気が沸いてきた!
またまた歩き始める一行。
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岩の道を登る子供達をヒヤヒヤしながら見守る。


途中でムサシが目に涙をいっぱい溜めながら、
「文句言うんじゃないよ。文句じゃないんだけど。」
と私の所に来た。


「文句じゃないけど、痛いの。足がすごく痛いんだ。」
靴を脱がしてみると、ムサシの足にはマメがいっぱい。

これは、痛いはずだ!

イサオさんが持ってきたテーピングで治療してくれた。
足が治ると、また元気を出し、歩くムサシ。

「チョコレート食べる?」
イサオさんが聞くと、

「要らない。飛行機まで着いてから、食べた方が美味しいから。」


強くなっていくムサシの姿を見て、なんか、胸がいっぱいになる。
子供は、こうやって成長していく物なのかな。




歩いて、歩いて、歩いて。
そしてなんと、歩き始めて5時間。
ついに飛行機まで到達!

そこには何とも、すごい物が落ちていた。
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これが、60年も前に落ちた飛行機。
そのまま、ここに残っているなんて。


言葉に出来ない衝撃だ。
その場で1時間程、写真を撮った。
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しばらくボーっとその場に座り、帰り道の事を考える。

また来た道を、戻るのか・・・。
ちょっと、気が遠くなりそうだ。

日が暗くならないのは、とても助かる。
こんな所で周りが暗くなったら、怖いし帰れない。

白夜でよかった!



その時ムサシが、
「いい考えがある!」
と目を輝かした。

「ねー、イサオ。この飛行機修理してよ。


「へ?」




「飛んで帰れば、いいんだよ!」






ムサシくん、それは何でも無理でしょう。

いくらイサオさんでも、出来ないって。


結局帰りは3時間半かかった。
夜中の11時40分に、やっとキャンプ地まで戻れたのであった。
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大変だと言うけど5歳や8歳の子供でも行けたんだから、実際はたいした事ないんじゃないかと思う人もいるだろう。


でもね、本当に大人の私でも、すごくキツいハイキングだった。
普通の子供では無理だ。
きっと、このB24までハイキングした最年少記録じゃないか。
我が子ながら、すごい子達だと思う。


スーパー5歳児とスーパー8歳児だよ。


山を10年やっているイサオさんでも、
「こんな事をいつもやってるのか。すごい家族だ。」
と驚愕したぐらい。





かなり疲れた。



ずいぶん、やられたよ。
まだ川にも出ていないというのに。




冒険は、まだ、始まったばかり。
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by shs_merumo | 2007-07-17 07:10 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下り その3 〜ブッシュパイロット〜
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山の中のチャーリーリバーに行くには、荒野に着陸出来る飛行機、ブッシュプレーンに50分間乗らなくてはいけない。
飛行機をチャーターし2度飛んでもらうのに、約20万円程かかる。


リーガンもイサオさんも、飛行機を操縦する人。他にもパイロットの友人が数人いる。
素人目からは、何故飛行機をレンタルして自分達で飛ばないのかと思ってしまうが、そう簡単な物ではないらしい。

飛行場でなく山の中に着陸するには、相当の技術や経験のあるブッシュパイロットでなければいけない。そして、ブッシュプレーンは、レンタル出来ないそうだ。
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今回頼んだブッシュパイロット、ロンは64歳。
40年も飛行機に乗っている、プロフェッショナルだ。


彼は自分でログハウスを建て、飛行機の格納庫も2つ建て、20年間この地に住んでいる。
このど田舎の彼の広大な敷地の中には、4台の自家用飛行機とバスのような豪華なキャンピングカーがあった。
そして20歳以上も年の離れた明るい奥さんと、15年一緒に暮らしている。
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朝7時半にはロンの家に行き、荷物を飛行機に詰め込む作業をした。

ラフトとカヌー。それに7日分の大量の食料と着替え。
ロンは後ろの席の椅子を取ると、厳しい顔でその荷物を飛行機に詰め込んでいった。


1時間以上、荷物を乗せる作業が続き、ようやく第一便の準備が整った。
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まずは先にリーガンとイサオさんが飛び、現地でラフトとカヌーを組み立てる計画。

さぁ、出発だ。
ロンと2人は飛行機に乗り込む。
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飛行機は、HELIO CORRIEI。
私にはよく分からないが、とても珍しい飛行機だそうだ。

私と子供達をその場に残し、飛行機は爆音と共に空に高く舞い上がってしまった。


そこから、2時間以上その場で待つ事になる。
車の中でゲームをしたり、仮眠を取ったり。

しばらくして、ロンの奥さんダンが出てきて、一緒に話をした。
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彼女は27歳の時に年上のプッシュパイロットと恋に落ち、この人口60人の小さな村にやって来た。

ここで生活するには、すべて自分で出来るというタフな心と技術が必要だ。
彼女は、4年かけて作った美しいロックガーデンを私に見せてくれた。

冬はマイナス50℃にもなるこの地での生活も、彼女に言わせれば、
「とっても快適。私達は何でも持ってるし、何でも作れる。」

スバラシイ。
強いアラスカンカップルだ。


そうしているうちに、ロンが戻ってきた。
チャーリーリバーの上流は水が少なかったので、最初に決めていたポイントよりも40km川下に着陸したらしい。

「とにかく、蚊が多かった。」
と聞き、覚悟して飛行機に乗った。
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私は操縦席の横に、子供達は後ろの席に座る。
滑走路をすごい勢いで走ると、飛行機は空に飛んでいった。
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美しい、緑の景色がどんどんと小さくなる。
くねくねと曲がる川も、山も木も、上からだとよく見える。
そこには、人工的な物が何もない。

アラスカは、やっぱりすごい。

同じ言葉を、何度も繰り返して思ってしまう。
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ロンは、仕事中はとても厳しい。
ぶっきらぼうだし、話し方が乱暴。
隣に乗っている私は、ちょっと緊張して黙っていた。

それに比べて子供達は、大はしゃぎ。ヘッドフォンマイクが嬉しくて、何度も声を出し遊んでいた。

後ろを見て子供達に注意し、外を見ていたら、だんだん気持ち悪くなってきた。
昨夜あまり眠れなかったのもあり、すぐ酔ってしまったのだろう。


ああ、とにかく早く着いてくれ!


ずっと我慢していたが、もう限界とバッグの中のビニール袋を探してゴソゴソしてたら、
「気持ち悪いのか?」
ロンが袋をくれた。



急に優しくなるロン。

飛行機を汚される事を恐れたのか?


その後ロンは、ベラベラとしゃべりだした。

60年前の第二次世界大戦中、B24という飛行機が、この付近で墜落した。
乗っていた5人のうち、3人はその場で死亡。(ちなみに、遺骨の一部は去年見付かった。)1人は今も行方不明で、もう1人はパラシュートで脱出。山を自力で歩いて助かったらしい。
今もその人は健在で、その話は本やドキュメンタリー番組になっているという事。


「その飛行機が、これだよ。」
ロンが指差したその先には...。
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飛行機が、そのままの形で山に張り付いていた。




・・・すごい。
60年前の事故の現場が、そのままそこに。


なんか、とんでもない物を目撃してしまったよ。




今から着陸する所から、この飛行機の現場にハイキング出来る。
でも山の中を入っていくと大変な道だから、木の中を通っていかなければダメだ。
木の間を行けば、すぐだ。

ロンが何度も繰り返す。
その時は、ふーんと軽く話を聞き流していた。

まさか、それが大変な事になるとは、その時は気付かずに。
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ブッシュプレーンは、それからすぐ、荒野の中に着陸した。
リーガンとイサオさんが、船を組み立てているその側に。





とうとう来たよ。
来てしまったよ。


これから、大自然と真っ正面から向き合う生活が始まる。
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by shs_merumo | 2007-07-13 03:34 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下りの旅 その2  〜車で北上〜
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9日間のキャンプ。
いったい、どれだけの荷物を準備すればいいんだ?
食べ物はすべてリーガンが用意すると言うので、私は持って行く服を考える事にした。


川を下る時、ラフトの上では何を着たらいいんだろう。
イサオさんに聞いてみると、「濡れてもすぐ乾く服」だそうだ。
そういう専門の服が、アウトドアショップに売ってるらしい。

それから、綿の服はダメ。下着もすべて、綿以外の物を用意しろと言われた。靴下は、濡れても暖かい、ウールの物を。


服に付いているタグを見たら、何の素材で出来ている服かが分かると言われ、初めてタグを見てみる。
すると、持ってる服はほとんどが綿素材の物。

デザイン重視で、タグ見て服なんか買わないもんなぁ。

アウトドアショップに行ってみると、色んな便利な物が売っていた。
新しい発見だ!

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ラフトの方は、レンタルする事に。
イサオさんは、自分のカヌーを日本から送ってもらう事にした。

レンタルショップに行ってみると、たくさんのカラフルなラフトやカヌーがあって、何だか心が浮き立つ。
お店の人、ブライアン。
話を聞くと、彼はなんとチャーリーリバーでガイドをしていたそうだ。

初めて、チャーリーリバー体験者に遭遇。
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一番気になる、子連れでも大丈夫な所かを聞いてみると、


「もちろん。俺は14歳の時に、チャーリーでガイドをしていた。」


わぁ。
何だか、勇気が沸いてきたぞ。


たくさんの荷物は友人に借りたドライバッグの中に入れ、車に詰め込み、金曜日の夜9時半に出発した。
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チャーリーリバーには、アンカレッジから北上し、フェアバンクスを通ってサークルホットスプリングスまで車で行く。そこからブッシュプレーンに乗るのだ。

途中、デナリの近くでキャンプ泊をし、翌日のお昼頃にフェアバンクスに着いた。
そこから行ってみたかった町、ノースポールに行く。

ここはサンタの街。
1年中がクリスマス。
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ノースポールでサンタクロースとミセス クロースに会った。


本物だったよ!


姿といい仕草といい、これ以上のサンタに会った事はない。

アラスカの夏に、サンタクロースに会う。
いいねぇ。



それからフェアバンクスに戻って、イサオさんの携帯に電話した。
彼は昨夜のうちに、自分の自家用飛行機でフェアバンクスまで来ているのだ。

イサオさんは、フェアバンクスの飛行場にいると言った。そこからサークルホットスプリングスまで飛ぶ予定だが、風が強いので待機しているところだそう。


とにかく、飛行場にイサオさんを探しに行ってみた。

そして、ちょうど飛ぼうとして、飛行機にガソリンを入れているイサオさんを発見!
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よしよし、いいぞ。
いいタイミングだった。

フェアバンクスからは3時間半の車の旅。
山の中の、すごい道を走っていった。
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なんなんだ。
このお花畑の絨毯は!


ピンクがまぶしいよ。


そしてようやく、サークルホットスプリングに到着!
とにかく、飛行場を探す。
頼んでいるブッシュパイロットはロンといって、ここにプライベートの飛行場を持っているらしい。


飛行場を見付け、すでに着陸したイサオさんを発見。
ロンはぶっきらぼうで、まさにイメージしていたブッシュパイロット。
翌日の朝8時に飛ぶ約束をし、5人は車に乗った。
今夜テントを張る場所を、探しに行かなければいけない。

イサオさんが上から見て、よさそうな場所があったと言った。
そこは、道なき道。
デカいブルドーザーやトラックが転がってる横を、5人を乗せたミニバンが行く。

そして砂場の上に、テントを張る。



工事現場でキャンプ
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「工事現場じゃない、金鉱だ。」
とリーガンは言うけど、あれは工事現場の雰囲気だったよ。

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夕食は、オレンジチキンと春巻きとご飯。
米が食べたいと言ったら、イサオさんが非常食用に持ってきた米3合を出してくれた。

飯も食ったし、さぁ寝るか。
テントの中に入る。
リーガンは速攻で、隣で大きなイビキをかいている。


明日は、小型飛行機に乗るんだ。
川まで行くんだ。
早く寝なきゃ・・・。





・・・。



眠れないー。
明るすぎる!




外が、明るい。
全然、暗くならない。


アンカレッジには、少しは夜があったのに。
ここまで北に行くと、夜もないのか。


その後、夜の1時になっても2時になっても、外が暗くなる気配がなかった。
ずっと昼間の明るさだよ。





恐るべし、白夜。
眠れない夜は、長かった。
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by shs_merumo | 2007-07-11 17:41 | アラスカ 川下り
チャーリー・ユーコン川下りの旅 その1 〜旅の計画〜
夏休みに何か大きな事をしようと、リーガンがまた遊びの計画を立てた。
次のメルモ家の冒険はこれだ。




「チャーリー&ユーコン 川下り9日間の旅。」

小型飛行機で大自然の山の中に降り立ち、そこからラフト(ゴムボート)で1週間川を下り、川辺でキャンプしながら帰ってくるというもの。
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すごいアドベンチャーだ。

9日間、野宿。
そのうち川に、7日間。
人間は誰もいない、でも熊が住んでいるような大自然の中に家族だけ。







冒険家じゃないんだから!


普通の主婦ですよ、私は。
5歳の子供も一緒だというのに。


何故いつも、リーガンの思いつく遊びは、すごく大変なのかな。



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しかしリーガンが行くと言ったら、本当に家族を連れて実行するんだろう。


川下り。
大丈夫だろうか。
初めて体験する事だ。


とにかく、ネットで川下りとかユーコン川とか検索してみた。
そこで見付けたTV番組。大泉洋のユーコン川下り「水曜どうでしょう」

これには大爆笑!
面白い。面白すぎる。



これなら、出来るかも。
大泉洋に出来たんなら、私にも出来るかも。

ちょっとだけ、変な自信が付いた。
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ネットのお陰で、ユーコン川はだんだんイメージが沸いてきたぞ。
問題は、チャーリー川。


リーガンに言わせれば、
「ユーコンだけでは簡単すぎてつまらないから、ちょっとスリルのあるチャーリーにも行ってみる。」
だそうだ。




スリルって、どんだけスリル?
子供を連れて行っても、大丈夫なトコロなのか?



友人のイサオさんに聞いてみた。
彼は日本で、カヌー川旅をしている人だ。

イサオさんが調べたガイドブックには、ユーコンはレベル1だが、チャーリーはレベル2。レベル3の所もあると書いてあった。



そ、そうなのか。
レベル3。

で、レベルっていったい何よ?



「大丈夫なんじゃない?ガイドがいるんでしょ?」
ちょっとビビっている私に、イサオさんは元気付けようとして声かける。




ガイドなんていないって。

リーガンと、川なんて下った事のない私と8歳と5歳の子供よ。
家族オンリーだって。



しかしその時、
「いいなぁ。オレも行きたいなぁ。」
と彼がうっかり漏らした一言を、私は聞き逃さなかった。

イサオさんを強引に誘って、彼もこの冒険に参加決定。



やった。ガイドゲット!!


アウトドアの達人の、リーガンとイサオさんの2人がいれば、もう怖い物なしだよ。
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ところで、10日間不在になる事を、日本の母に告げなければいけない。
心配性の母は、連絡が付かなくなるとあらゆる悪い事を想像しかねない。

でも無事に帰ってくるまでは、この川旅計画をそのまま母に伝える事は出来ない。そんな事を言ったら、心臓発作でもおこしてしまいそうだ。


そこで母に、
「10日間旅行に行ってくる。」
と伝えた。それだけではちょっと罪悪感も感じたので、
「旅行と言っても、ホテルに泊まらない旅行だけどね。」
とも付け加えた。

「またー。どこに行くの?あんた達のする事は、いつも危ないから。」
と言う母に、
「大丈夫、大丈夫。今回はイサオさんも一緒に行くから。」
と、思わず答えた。




「それって、すごい冒険って事じゃないの。」


しまった。
母はTVやホームページで、イサオさんがどういう人なのか知っていたのだ。
安心させるために言った言葉で、大失敗。



母さん、そのとおり。

大冒険だよ。
今までした事ないくらいの。

そして旅の準備は着々と進んでいった。
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by shs_merumo | 2007-07-10 08:16 | アラスカ 川下り