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スノーアドベンチャー
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週末はスノーモービルで、雪の中を冒険しようと計画を立てた。

2台で行く、スノーモービルの遠出。
大人用の大きなスノーモービルを1台借り、リーガンの運転で私とアラシが後ろに乗る。そしてもう1台、子供用のスノーモービルに、ムサシが1人で運転するのだ。


リーガンがレンタルショップのおじさんに聞いたところ、子供でも行ける8マイル(約13km)の簡単なトレイルがあるんだとか。そのコースのゴールは、スノーケーブ。

なんだ、スノーケーブって?
雪の洞穴?
とにかく、そこを目指してレッツゴー!


土曜日の朝。
リーガンの作ったスペシャル・ランチをバックパックに入れて、トレイルの出発地点までトラックでスノーモービルを運んだ。
そこには、たくさんのスノーモービルが集まっていた。
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まずは、私がその広場で練習。
初めて大人用のスノーモービルに乗ってみた。

操作は簡単。スクーターと同じ要領で動かせる。
でも実際に乗ってみると、ハンドルは重いし、なかなかコントロールが大変。
スクーターというよりもバイクの感覚。
久しぶりに、ニーグリップとかリーンインとかのバイク用語を思い出した(元ライダー)。

ムサシも広い所で自由にスノーモービルが運転出来て、楽しそうだ。
準備がすむと2台のスノーモービルは、アラスカの雪の世界へと出発した。
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ずっと続く銀世界。
何もない、雪に包まれただだっ広い平らな土地が、遠くまで続いている。


と思っていたら、今度はデコボコ道。
山あり谷ありの、激しいオフロード。
急な坂道を、スノーモービルはジャンプしながら進んでいく。

後ろを振り返ると、ムサシもがんばって付いてきてる様子。
おお~、なんか逞しい。我が子の成長に、ちょっと感動。

40分くらい走った頃。
目の前に半分凍った川が現れた。
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な、何?川、ですか?

ちょっと呆然。
いったいどうやって、この先を進むんだ!?


トレイルは川の前で消え、そして向こう岸へと続いている。
周りを見渡しても、この川を越える以外に道はない。
リーガンはしばらくそこで考え、
「とりあえず、自分が1人で先に渡ってみて、大丈夫だったらみんなで渡ろう!」
と、スノーモービルを動かした。

祈るように見つめている家族の前で、リーガンは水しぶきを上げながら、川に突っ込んでいった。
そして何とか向こう岸まで渡り、戻ってきたリーガン。

「思ったよりもちょっと深いけど、大丈夫。みんなでがんばろう!」
そう言うと私達を乗せ、水の中にまた入る。


ひぇ~!怖いって!!
ムサシはどうするのよ?


考える暇もなく、3人を乗せたスノーモービルは川の中に入っていった。
そして何とか川を渡ったが、バランスを崩して向こう岸で倒れてしまった。
ようやくスノーモービルを起こし、ハッとして後ろを振り返ると、ムサシは川の真ん中。途中で怖くなって、止まってしまったみたいだ。


「ムサシ!!」
慌ててリーガンがずぶずぶと川の中に入り、ムサシを救助する。
一番怖いのは、水に濡れてしまってこの寒さの中、体温が下がってしまう事だ。
みんな防水のスノーギアを着けているので、少しぐらいは大丈夫だが、アラスカの自然の中では、少しの間違いが危険に繋がる。

ようやく落ち着いて、また走り出したスノーモービル。
しかし、10分くらい行った所で、また川が現れた。
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前にいた団体も、悪戦苦闘している様子。
一台ずつ、川に入っていく。
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大人用のスノーモービルでも、これだけ沈んでるのだ。
子供用だったら、その2倍。怖くて当たり前。

その場にいたスノーモービルのおじさんも、ムサシを指差し、
「あれで渡らない方が、いいかもな。」
と言っていた。

しかし、ここしか道はない。
どうするんだ、リーガン?

リーガンは、この先も進むと言った。
仕方ない。子供用のは、私が運転するよ。
リーガンじゃあ重すぎて、あれには乗れないんだもの。

ムサシと交代してスノーモービルに乗り、思い切って川に入る。
最後のところをちょっと失敗して川岸に上がれなかったが、何とか渡れた。
「That's my girl!」
リーガンにも褒められ、ちょっと嬉しかった。


その後も、なんと3つもの川を渡らなければいけなかった。
その度に、私がムサシの代わりに子供用のを運転していたが、最後の川は浅かったので、ムサシに挑戦させてみようと、リーガンが言った。

先に来ていたスノーモービル野郎(?)達が見守る中、ムサシはエンジン全開で川を見事に渡りきったのだ。
歓声が沸きあがり、親指を立てる男達。
ムサシも照れながら、親指を立てていた。


さらにさらに、道は続く。
・・・遠すぎる。
本当に8マイルなのか?
もう2時間も走っているよ。


その時、遙か彼方に光る物が見えた。
あっ、あれは!
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氷河だ!!
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美しく青く光る氷河。
そこがゴール地点だった!!
地上から見た初めての氷河だ。

スノーケーブとは、これの事か!
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遅れてムサシも到着!

よくやった、ムサシ。
山も谷も超え、見事2時間も走りきったよ。
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氷河をバックに、サンドイッチを広げる。
贅沢な眺めの中で、ランチタイム。
即席氷河レストラン。
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氷河を堪能してから、また帰途の道へ。
ムサシは疲れたと言っていたので、私が代わりに子供用スノーモービルを運転する事にした。

ところが。
これが、思ったよりも難しかったのだ。
スピードは時速25kmくらいしか出ないし、アクセルをずっと握っている右手が痛い。
バランス取るのが難しく、デコボコ道で何度もこける。
そのうちリーガンが降りてきて、
「やっぱりムサシの方が早いから、代わって。」
と言われてしまった。

くそー。ムサシに負けたか。

ムサシは慣れたもので、山も谷も上手に運転していった。
そしてなんと、5つの川も難なくクリア!
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最後のちょっと深い川を1人で渡りきった時には、うるうるときてしまった。
あの、怖がりのムサシがこんな冒険も出来るようになったとは。
アラスカに移住してきて正解だったな。


往復で4時間。
みんなクタクタになりながら、やっと辿り着き、そのままレンタルショップまでスノーモービルを返しに行った。

「教えてもらった、20マイルリバーと書いてある所に行ったよ。」
とリーガンが言うと、レンタルショップのオーナーは、
「ええーっ!あのトレイルに行ったの??この子供のモービルで?」
と、びっくりしていた。

実はリーガンの間違いで、子供も行ける簡単なトレイルではなく、違うトレイルに行ってしまったのだ。8マイルではなく、13マイル。
往復で42キロも走った事になる。

オーナー曰く、

そこは大人も躊躇する、険しいトレイル。





・・・リーガンよ、またか。


どうやらリーガンといると、いつも人より余計に冒険させられる運命なのらしい。
by shs_merumo | 2007-04-02 08:59 | アウトドアの楽しみ方


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